自閉症スペクトラムの娘が3歳から通っている療育先で、小学生からSST(ソーシャルスキルトレーニング)ができると知り、娘も小1から始めています。
現在小2になりSSTも2年目になりますが、家や学校で実際にトレーニングの効果が出たかというと…そんなには変わってないというのが正直な感想。
というのも、幼児期からの療育のおかげで授業中は席に座っていられるし、他害もない。
はたから見ると大人しい女の子にしか見えないので、良くも悪くも本人が困っていることに気づかれにくいのです。
だからSSTでは自分が困っている時に先生や友達に「私は困っているから助けてほしい!」と伝えられるようになればいいなという想いがありました。
たとえば忘れ物をしたときに何て言うのか、友達と遊びたい時になんて声をかけるかなど学校生活で困ったことがあったときに対応できる力を身に着けてほしいんですよね。
今回はSSTを1年間やってみてみられた効果や、SSTをやっただけで終わらせずに普段の生活に生かすには、親がどんな声掛けをすればいいのかについて考えました。
目次
SSTは効果なし?1年間受けてみた感想
期待していたSSTだったので、こんな簡単な内容で1年も?と少し不満な点はあります。
娘は挨拶をしたり、人と話をするときに目を合わせたりといったことは割と普段からできていたので、それよりも学校での立ち回り方を具体的に教えてもらいたかったなあって。
でも低学年だからこそ、あいさつやお礼の言葉などの基本的なことを何度も繰り返すことって重要なのかもと思い始めました。
分かっているようにみえてなぜあいさつやお礼が大切なのか?という所が完全に理解できていない可能性もありますしね。
最近、親の私が娘に怒られたというドキッとしたことがあって。
夜寝る前に娘が布団に入る時、私の目を見て「ママ、おやすみ。」
って言ったんですよ。なのに私ったらスマホに夢中で娘の目も見ずに「おやすみ~」
って適当に返したんですね。そしたら娘が
「ママ!ちゃんと目を見て話して!」
と、私に言ってきたんです。
娘はSSTで先生に習ったように、
- 人に話しかける時は名前を呼びかける
- 目を見てはっきりと話す
がばっちりできていたのに、大人な私が普段ちゃんとというか全然できていないなって
思わされた瞬間でした。
私が期待していた内容とはちがっていたけど、基本的なことが確実に身についてきてるなってことが分かりました。
SSTとは?どんな子に効果があるの?
SSTとは簡単に言うと、社会で他人と上手く関わっていくために必要なスキルを身に着けるためのトレーニング。
礼儀やマナーやコミュニケーションスキルって、要領のいい子だと周りを見ながら自然と吸収していけるものですよね。
あいさつをする、悪いことをしたらすぐ謝る、目を合わせて話すといったあたりまえのことだけど、発達障害の子たちにとってはすごく難しいことだったりします。
知的に低くなくても、クラスでトラブルを起こしてしまう子や自分の思いを上手く表現できない子、人の気持ちを想像するのが苦手な子にもSSTを試してみる価値があります。
SSTでは基本的な社会スキルを楽しみながら何度も繰り返して訓練していくことで、
といったことを先生や友達とのやり取りの中で学んでいくことができます。
娘のSSTでは教科書を見ながらだけじゃ分かりにくい子たちのために、
- 目の前の先生たちが悪いやりとりの例をしてみせて子供たちに「今のやりとりで何がいけなかったかな?」と考えさせる
- 分かったら手を挙げて発表させる
- 正解したらポイントがもらえる(ホワイトボードに自分のポイントがたまっていくのがわかる)
といった感じで楽しくトレーニングに取り組める工夫をしてくれていました。
SSTだけじゃなくて好きな楽器を自分で選んでリズムに合わせて演奏するといったことも。たまに音楽療法みたいなこともしていました。
単に演奏を楽しむだけじゃなくて、自分で「この楽器がいいです」と先生にお願いできるかどうか、受け取った後「ありがとう」と言えるかどうかという点もみていたようです。
先生は、とにかく楽しく取り組めるように子供一人一人に声をかけたり、褒めたりをこまめにしてくれるので、娘も楽しんで通うことができていましたね。
SSTで学んだことを無駄にしないために家で気をつけたこと
SSTでせっかく社会スキルを学んだのに、家や学校で使わなかったら身につかないまま終わってしまいます。
体験だけで終わらせないようにするためには、SSTの後に生活の中で実践することが大切です。
子供だけでやってみなさいと言われてもできる子はほとんどいないでしょうから、親もSSTで子供が何を習ってきたかを把握しておく必要があります。
家では先生の代わりに親が子供の見本になってみるのが一番分かりやすいでしょう。
たとえば親が知り合いに挨拶している様子を子供に見せたり、子供が鼻をほじるくせなどしてほしくない行動をとったら親が子供の前でやってるふりをしてみせて、それを見てどう思ったか聞いてみるとか。
順番を抜かそうとしていたらすぐに叱らず、「SSTでこんなときどうしたんだっけ?」と思い出させてみる。
反対に順番を守れたらすかさず褒めて、順番を守ることは良いことだと思わせるようにするといいでしょう。
また、兄弟げんかのときなんかに悪い言葉を使っている所を見つけたら、「こんなこと言われたら自分ならどう思うかな?お兄ちゃんは悲しいと思うよ」
という風に良いことも悪いことも自分のした行動をいったん振り返らせてみることで先生に教えてもらったことを思い出させるようにしています。
娘にとってのSSTは訓練半分、居場所作り半分
SSTは学校から送迎がついているので、デイのように送り迎え付きです。
車中で他の子たちと話したり、着いたあと一緒におやつを食べたりゲームをしたりする時間も娘は気に入っているみたい。
小学校の早い勉強のペースについていけない、給食も食べるの遅い、女の子たちのレベル高すぎる会話についていけない娘にとって、同じぐらいのゆっくりな発達の子たちと過ごす時間はリラックスできる場となっています。
先生たちもゆっくり(すぎる?)ペースで進めてくれてたくさん褒めてくれるからか、いつもはりきって通っています。学校に行くときの顔と大違い。
この際細かいSSTの内容うんぬんより、娘の居場所作りと考えても十分通わせる価値があるんじゃないかなって思います。