知的に遅れがないアスペルガーが、発達障害として一般的に知られるようになってきたのは最近のことです。
自閉症スペクトラムとアスペルガーは全く別の障害と思われる方も多いのではないでしょうか?
私も実は障害がある子を育てているのに「アスペルガー?頭いいから普通級でいけるし定型の子とそんなに変わらないんでしょ?」
っていう間違えた認識をつい最近までしていました。
自閉症スペクトラムとアスペルガーの違いについてはっきりと知りたかったので調べたところ、アスペルガーは「自閉症(スペクトラム)」のタイプの一つに含まれるという記述を見つけたのです。参考:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
なんでも知的には遅れがないけど自閉症の特徴が当てはまると、アスペルガーと診断されることがあるそうです。
診断名については娘も「軽度知的障害」「広汎性発達障害」「自閉症スペクトラム」など診断がコロコロ変わっていていまいちあいまいな部分があるので、一度違いをはっきりさせたいと思っており。。
自分自身も情報を整理したいと思い、それぞれの発達障害の違いをわかりやすく図表に書いてまとめました。
目次
アスペルガーとは?
自閉症スペクトラムは「自閉症」とついているとどうしてもアスペルガーのイメージに当てはまらないような気がしますよね。
ですが、アスペルガーは自閉症スペクトラムのグループの中に含まれていると考えてください。
自閉症スペクトラムは、2013年発達障害の診断基準がDSM-5に改定されてから使われるようになった新しい診断名です。
それ以前はアスペルガーも自閉症もひっくるめて広汎性発達障害といわれていました。娘が広汎性発達障害という診断を受けたのが2014年なので、ちょうどDSM-5が発表されて間もない頃だったのです。
娘の診断名が広汎性発達障害から自閉症スペクトラムに変わったからといって、たいして意味がなかったんだってこと誰にも教えられず数年…悩むだけ損しました。
- カナ―症候群(いわゆる自閉症)
- アスペルガー症候群
- 高機能自閉症
- 特定不能の広汎性発達障害(または社会的コミュニケーション症)
- 小児期崩壊性障害 など
つまり、色んな発達障害をまとめて自閉症スペクトラムというんですね。
鶴田氏の論文によると、自閉症スペクトラムのうち4分の3が知的障害を伴い、4分の1が知的障害が軽いか無いとあります。
ということは自閉症スペクトラムの中でもアスペルガーの割合って意外と少ないんですね。
自閉症スペクトラム(アスペルガー)の3つの特徴
自閉症スペクトラムに色々なタイプがあるとはいえ、共通している部分がかなり多いです。(だからひとまとめにされてしまったんでしょう…)
スペクトラム=連続体という言葉の意味からも、知的遅れがあるなし関係なく3つの特徴があるといわれています。それが、
- 社会性の障害
- コミュニケーションの障害
- 想像力の障害
になります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
社会性の障害
- 人から話しかけれているのに反応がない
- 指示されたことに反応がない
- 自分から相手と話そうとしない
- 社会の暗黙のルールや決まり事が分からない
もちろん本人に悪気はなく、周りの子達が当たり前に察する場の空気とか、会話のタイミングをつかむのが極端に苦手ということです。
人との距離感が分からず、近すぎたり反対に遠すぎたりして人付き合いが上手くできない場合もあります。
自分の常識と社会一般の常識がずれていると、周囲とトラブルを起こすことも。でも療育やSSTで教えてもらっている子はルール的なことなら守れたりしますけどね。
(たとえば列に並んで順番を守る、赤信号は渡らないなど)
コミュニケーションの障害
自閉症スペクトラムの人の特徴で
- まったくしゃべらないか喋り過ぎる
- 質問の答えがオウム返し
- 独り言が多い
- 言葉の意味を文字通り受け取る(冗談や社交辞令が通じない)
など、自己中心的な言動に見られてしまうことがあります。
周りの人から不審に思われたり、性格的に問題があるんじゃないかと思われたりすることもあって、娘に注意することも多いのですが…
本人が悪いのではなく、自分が発したことに対して相手がどんな風に感じているのかを読み取る力が弱いことが原因。
周りの空気や相手の表情が読めないというのは、想像力の障害も相まって自閉度が高いタイプに強く出る傾向があります。つまり知能の高さは関係ないんですよね。
アスペルガーって頭が良いから障害とは気づかれにくくて、もしかして知能が低いタイプよりも生きづらい思いをしているんじゃないかな、と思います。
想像力の障害
- おままごとなどの想像力が必要な遊びが苦手
- 抽象的な問題の理解が難しい
- 時間の流れが把握しにくい、見通しがつかない
- 協調運動(手と足を別々に動かすなど)が苦手
- こだわりが強く、感覚過敏があることもある
など、挙げるときりがないのですが想像力が必要な勉強や運動、日常生活の中で本人や身内にしか分からない障害があるということです。
娘でいうと以下のようなことで今も苦労しております。。
アスペルガーの人で多いのは、暗記や計算問題はよく覚えられるのに応用問題や文章問題になるとたちまち分からなくなるというパターンです。
全体的に勉強が苦手な子もいれば、得意と不得意が極端な子がいる。
ひとまとめに自閉症スペクトラムといってもほんとに色んなタイプがあることが分かりますよね。
アスペルガーも自閉症スペクトラムのひとつ
タイトルのアスペルガーと自閉症スペクトラムの違いとは?という問いは誤りで、アスペルガーも自閉症スペクトラムというグループの一員だというのが答えになります。
多くの人が自閉症とアスペルガーは別の障害だと思い込んでいるようですが、双方で共通する特徴もあれば違う特徴もあるということです。
カナ―症候群や広汎性発達障害などの診断名を聞いただけで「うちの子はアスペルガーだから知的障害とは違う」と区別してしまっては視野が狭くなってしまいます。
アスペルガーであれば自閉症スペクトラムなので、アスペルガー以外の障害でも共通部分があると思った方が、今までは思いつかなかったような支援方法が見つかったりするかもしれませんね。
アスペルガーや自閉症の人が、無理なく生きるためのヒントがつまった1冊です。