発達障害の子の絵が下手なのはなぜ?描くのが苦手から好きになった娘の話

ASDとADHDの娘のこと

よく発達障害の人は手先が不器用だから字や絵を書くことが難しいっていわれていますよね。

だから「娘の絵が上達しないのは障害のせいなんだ」と思い込んでいた私。

定型発達の息子は3歳頃からアンパンマンの顔を描いて、教えずともウルトラマンやトーマスなど自分が好きなキャラクターをどんどん描いていってたんですね。

一方、自閉症スペクトラム(ASD)の娘はというと、4歳になってもぐちゃぐちゃな落書きのような絵?しか描けず、はっきりいって下手、というか判断しようがない絵を描いていました。

これはなに?と聞いてもこれはなに?とオウム返しされるだけという状況。

ゆしこ
この子はなんで兄のような絵を描けないんだろう?

というもやもやが何年も続き、現在7歳になった娘。

どうなったかというと、それなりに絵は描けるようになったかもと親の目から見て思います。

下手どころか、上手なレベルになってきてない!?という気もしなくはない。

絵が下手だった娘がなぜ急に上手くなってきたのかについて考えてみました。

絵が苦手から大好きに変わった理由を考えてみた

幼稚園に入ってからは、やっと棒人間だけど目と鼻と口がある絵を描けるようになってきました。

今でこそ絵を描くのが大好きになった娘ですが、以前は絵を描こうと誘っても「ママ描いて~」ばっかりで全然自分から描こうとしませんでした。

 

なんで絵を描こうとしなかったかというと、きっとこんな理由でしょう。

  • こう描きたいイメージはあっても、どこから描いたらいいのかわからない
  • 自分が描いても見本のような絵にはならないと分かっている

不器用なのに完璧主義というやっかいなASDの特性のせいで、最初から描くことをあきらめてしまうという感じでした。

横で兄がスラスラ絵を描いている様子を見ているのもあってか、「だって上手に描けないもん」が口癖でした。

 

の娘が絵を描くのを楽しみ始めたのは年長になったころからでした。

私が描いたプリキュアの絵をいつも塗り絵にして遊ぶのですが、ある時私の絵を見本にして自分で描き始めたんです。

描く気持ちにはなってきたものの、やっぱり思うイメージ通りにならなくて「できない!!」と言って途中で止めてしまうことがほとんどでしたけど。

始めから描かないから、とりあえず描いてみるという変化が絵が上手くなる大きな第一歩だったように思います。

下手でも好きな物を描きたい!という気持ちが一番大事。

出来上がった絵は可愛い~!上手!と、とにかく褒めまくりました。

絵を描くって楽しいって気持ちが芽生えるとやはり成長は早いです。

 

2018年3月の卒園も間近なころ、自宅のホワイトボードに幼稚園のお友達と手をつないでいる絵を描いていました。みんな笑っててほほえましいです。

 

1年後の2019年3月に描いた絵。娘とお互いを描きあいました。

小学校に上がってから絵日記の絵を描くのが好きになり、まつげや手の指など細かい部分も描けるようになってきました。

発達障害の人は絵が下手といわれる理由は?

今ではあまり気にならなくなってきましたが、娘が幼稚園の時は、同年齢の他の子と比べてなんで絵が描けないんだろうと思っていました。

それもそのはず、娘に限らず発達障害の人には大多数の人とはちがった以下の2つの特徴が絵を描く時に現れるからなんです。

  • 手先が不器用
  • 物を見る時に全体ではなく部分から入ってくる

この特徴について説明します。

手先が不器用で、力の入れ具合が上手く調節できない

発達障害の子供の中には、まるで手に分厚い手袋をはめているような不便さを感じている子も少なくないようです。そのせいで筆圧が弱かったり、真っすぐな線が書けなかったりすることがあるのだとか。

確か娘も薄い線を書いていた時期があったんですよね。

運筆のトレーニングは幼稚園の時通っていた療育先で取り入れてもらっていたので、その成果がでたのかは分かりませんが、今ではしっかりと力を入れて字を書けるようになっていきました。

手先の不器用さは成長とともになくなってくることもあれば、本人の努力次第で目立たなくなることは十分あり得ます。

物を見る時に全体ではなく部分から入ってくる

自閉症の作家である東田直樹さんの著書に、こんな一文があります。

みんなは物を見るとき、まず全体を見て部分を見ているように思います。しかし、僕たちは、最初に部分が目にとびこんできます。その後、除々に全体が分かるのです。

 

 

おそらく東田さんは健常者と、自閉症スペクトラムの人との物の見方のちがいを伝えたいかったのだと思います。

この物の見方のちがいは、絵を描くときに分かりやすく出てくることがあります。

たとえば娘が最近描いた私の顔は、目から描き始めています。

私が人物を描くとき輪郭から描くのとはちがって、パーツから描き最後に輪郭を描くんですよね。

パーツごとに見ると丁寧なんだけど、全体のバランスが掴みにくいのか顔とパーツのバランスを調整する時にいつも難しそうに描いています。

細かい部分を丁寧に描けるのは強みでもありますが、定型児が描く絵と比べてどこか変わった絵に見えるのは「物の見方のちがい」が絵に表れているからかもしれません。

好きこそものの上手なれ!

私個人としては発達障害だからといって絵が下手・上手いというのは関係ないかなと思います。

下手だと言われて苦手意識があって、絵が嫌いになる。嫌な事をしろと言われて描くとますますササっと描いてしまって上達しない…という負のループにはまってしまうと、上達が遅れてしまいます。

あるいは下手でも描くのが好きだという気持ちがあれば、ゆっくりでも確実に上達していくでしょう。

それは健常者でもいえることですよね。

娘はなわとび1回も飛べないし、鍵盤ハーモニカも早くて皆のペースについていけない不器用ちゃんですが、絵を描くのが大好きです。

一つでも自分の得意を見つけて彼女の自信になったらなって思います。

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